温泉の楽しみ方

温泉ドクターがすすめる『やまがた温泉入門』
温泉療法医 荒井冨(あらい すすむ) 片桐進(かたぎり すすむ) 著
みちのく書房 編集・発行

以下抜粋

四十四市町村すべてに温泉がある出羽の国・山形は数においても種類においても全国有数の温泉県といえます。全国の方々が自然の恵みに感謝しながら上手に山形県の温泉を利用して、心と体を健康に保っていただきたいと思います。


 
「温泉に行こう」と家を出た瞬間から癒しの旅は始まっています。気持ちが弾み、開放感に包まれます  
温泉地を訪れると、地元の方の人情に触れたり、豊かな自然を直接肌で感じることができます   かけ湯は血圧の急激な変動を抑え、思わぬ事故を防ぐものです。毎回行いましょう。入浴を楽しんだ後は、すぐに活動を開始しないで部屋で15分以上は横になります。入浴は運動と同じ様に私たちの体に刺激をあたえますので十分に休息をとってください。
温泉にゆったりと浸かることで温泉水の直接作用があります   忘れてはならないのが入浴の前後にコップ1杯の水分をとることです。入浴で汗をかくと体から水分が失われますので補給をしましょう。


温泉には真水にない特有の効果があり、一般に、温泉に入浴すると血行が良くなったり、ホルモンの分泌や 自律神経の乱れが調節されて体の適応能力が高められます。
@塩化物泉 適応症:虚弱児童、きりきず、やけど、慢性皮膚病、慢性婦人病
塩化ナトリウムを含む食塩泉と塩化カルシウムを含む塩化土類泉にわけられ、どちらも舐めるとしょっぱい味がします。
入浴後は体の表面にこれらの塩分が付着して体温が体の外に逃げるのを防ぐため長く温感が続きます。
A炭酸水素塩泉 きりきず、やけど、慢性皮膚病 アルカリ質の温泉で「ナトリウム炭酸水素塩泉(重曹泉)」がその代表。入浴すると固くなっている皮膚の角質層がやわらかくなり、汚れた皮膚がおとされて、肌がスベスベになります。
B硫酸塩泉 きりきず、やけど、慢性皮膚病、動脈硬化症 飲用すると便秘に効きます。芒硝泉は高血圧症や動脈硬化に、石膏泉は慢性関節リウマチや打ち身、捻挫に、明礬泉は慢性皮膚疾患や粘膜炎症の治療に効果があります。
C含鉄泉 月経障害 入浴により鉄分が皮膚から吸収されるため貧血に効果があります。
D硫黄泉 きりきず、糖尿病 入浴すると皮膚がなめらかになり、皮膚病に効果があります。硫化水素を含んだ蒸気を吸うと痰が出やすくなるといいますが、硫化水素ガスは猛毒でもあるので要注意です。
E酸性泉 慢性皮膚病 硫酸あるいは塩酸を含む温泉で、山形県には硫酸性の蔵王温泉と姥湯温泉があり、いずれも高原特有の気候と刺激性の強い温泉水との相乗効果により健康づくりの温泉として知られています。特に蔵王温泉は「こどもの湯」として虚弱体質の改善にも利用されています。
F単純温泉 温泉水に含まれている成分が薄い温泉で、体への刺激がマイルドなことから入り心地がよく、高齢者の入浴や病後の静養、傷や手術後の療養などにおすすめ
G二酸化炭素泉(炭酸泉) 炭酸ガスを含む温泉で、入浴すると血管が拡張され、血圧が下がり、湯上り後の温まり感が長く続きます。

H含アルミニウム泉

硫酸アルミニウム(明?)を主成分とする温泉で、酸性泉と同様に殺菌力が強く収斂作用があります。
I放射能泉(ラジウム泉) 天然の放射性物質であるラドンやラジウム塩を含み、血圧を下げたり、循環障害の改善に効果があります。


@温泉て何? 一般的には地中から湧き出してくる温かい水で、いろいろな成分が溶け込んでいるお湯のことです。
A温泉の成り立ち 温泉水の99%は地下深部にしみこんだ地下水で、残りの1%あまりはマグマ水です。
B自然の効果 山間の温泉地は気圧が低めですから、体はより多くの酸素を必要とします。このため呼吸運動が活発になり造血臓器が刺激されて赤血球が増えてきます
C温熱の作用 高温浴(42℃以上)は新陳代謝や血液の循環がよくなり、筋肉や関節などが柔らかくなります。
微温浴(36〜38℃)は心臓への負担が少なく、入浴直後の急激な血圧上昇もわずかですから、心臓病、高血圧症の人にも適しています。
D水圧の作用 深い浴槽に首までどっぷりと浸かると、胸のあたりで1〜2センチ、腹のあたりでは5センチも細くなるほどの水圧がかかり、特に腹の内臓などの血液が押し上げられて、心臓に大きな負担がかかります。心臓に不安がある人は、浅い風呂に全身を伸ばして入浴したり上半身、少なくとも胸より上を出して入浴するのが安全です。
E浮力の作用 お湯の中では体重が1/9〜1/10になり、手足の関節などの負担が少なくなります。
F正しい入浴のしかた 1. 浴槽に入ったら体を洗うのがマナー
2. お湯に浸かる前にかけ湯を
3. 入浴は自由に好きなように
4. 入浴後15分以上横になって疲れをとる
5. 入浴前後はコップ1杯ぐらいの水やお茶などで水分補給を
G入浴時の注意 1.入浴後は体に付いた温泉水を洗い流さない
 温泉水にはいろいろな溶存物質が含まれています。ただし、酸性泉の場合は皮膚に対する刺激が強すぎるので、特に肌が弱いといわれている人は必ず真水で洗い流しましょう。
2.食後すぐの入浴は避ける
 入浴すると血液が体の表面に集まり、消化管への血液量が少なくなります。消化の効率を著しく悪くするので食後30分以上すぎてからにしましょう。
3.飲酒後の入浴は絶対だめ!
 転倒や溺死の危険があります。
H温泉入浴の禁忌症 『塩類泉』
   急性疾患(特に熱のある場合)、活動性の結核、悪性腫瘍、重い心臓病、呼吸不全、腎機能不全、出血性の疾患、高度の貧血、病状が進行中の場合、妊娠初期と末期
『特殊成分を含む温泉(硫黄泉や酸性泉)』
   皮膚粘膜の過敏な人、特に光過敏症の人
※ 温泉地によっては、この他にも特記されている事項があります。
I飲泉の効用 温泉のお湯を飲む「飲泉」療法も上手に利用することで消化器疾患や便秘、橋本病、痛風、貧血などの症状改善に効果がある。ただし、飲む量や飲み方を間違えるとマイナス効果になることがあるため、必ず飲泉許可を受けている場所(飲泉所)で、温泉療法医に相談してから飲むことが大切。
J蒸気の吸入 温泉の蒸気を吸入する方法があり、慢性気管支炎や気管支喘息の症状軽減に用いられている。
K森林浴(森のアロマテラピー) 森の中を散歩すると、独特の香りで気持ちが落ち着いてくるように感じるのは樹木から発散されるフィトンチッドに血圧を下げたり気分を落ち着かせるアロマテラピー効果があるため。
L海辺の自然浴(タラソテラピー) 海辺の空気に溶け込んでいる豊富なミネラルを呼吸や皮膚を通してとりこんだり(大気浴)、殺菌作用をもつ紫外線の効果(日光浴)、海水浴などが知られている。
M国民保養温泉地 環境庁は温泉の公共的利用増進のため、療養、保養、休養に適した健全な温泉地を「国民保養温泉地」としている。
N湯治の期間 療養目的の湯治には3〜4週間、少なくとも1週間以上の滞在が必要だが、長ければ長いほど効果が期待できるというものでもない。
O湯あたり 湯治をはじめると3日〜5日目ぐらいに「だるい」「眠い」「疲れた」などの体の変調を感じることがある。これが「湯あたり」。いわゆる温泉が効いている証拠
Pいろいろな入浴方法 1.全身浴
  高温での全身浴は心臓への負担が大きい。血圧が高い人や高齢者は半身浴を。
2.腰湯(半身浴)
  腰痛や関節痛などの痛みの軽減によい。体にやさしい入浴法
3.足湯
  温熱と水圧の作用により、冷えや足のむくみの解消によい。
4.寝湯
  体への負担が少ないため、心臓に不安がある方や高血圧症の方にもよい。
5.うたせ湯
  凝っている部分のマッサージに。頭にはあてないこと。
6.圧注浴
  ジェット噴流によるマッサージ効果がある。水圧が強いので時間は短めに。
7.箱蒸し湯
   湯治場ならではの蒸気浴。気持ちがよく長湯しがちだが、ほどほどに。
8.運動浴
  リハビリテーションに有効。
9.歩行浴
  温水槽と冷水槽を交互に歩くことで血行が促進され、冷え症などに効果的。
10.サウナ浴
   サウナの後の冷水浴は心臓への負担が大きく危険。特に高齢者は注意!
11.泡沫浴
   超音波が細かい気泡を作り、一見牛乳風呂のよう。リラックス効果が高い。
12.気泡浴
   気泡による皮膚刺激を楽しむ。温熱効果、洗浄効果もある。
13.渦巻き湯
   水流により血液の循環が促進され温まる。